【Vol.20:ユリアとボー、旅の終わり】

ラーシュは飲み込んだ人達全員に謝りました。
人々から非難を受けながらも謝るラーシュの横にはクルトが寄り添っていました。
クルトは優しい目でラーシュを見つめていました。

「確かにラーシュは皆を困らせた。でも、こんなに一生懸命に反省しているよ!
皆、ラーシュを許してあげられないかな?」
ユリアの真剣な叫びと眼差しに人々はどよめきました。
「まぁ、全員無事だったんだ。ここらで勘弁してやろう」
一人の青年が声をあげると、人々は口々にそうだな、と呟きました。
「ありがとう、皆さん、ユリア……」
ラーシュは今にも泣きそうな顔で呟きました。
その肩をクルトが優しく包み込みました。

「さぁ、皆! 帰ろう!」
一人の村人のかけ声に、皆が応えました。
そして、ヒュドラに飲み込まれていた人々は自分達の故郷へと帰っていきました。
ユリアもお父さんとお母さん、村の人達と共に自分たちの村へ帰りました。

数日後――。
ユリアの村には農作業で汗を流すクルトとラーシュの姿がありました。
そう、クルトとラーシュはユリアの村で暮らすことになったのです。
ユリアの感情は全て戻り、怒ったり、泣いたり、笑ったり……忙しい毎日です。
ユリアの肩には小さな姿のままのボーがいました。
ユリアとの契約から解放されたボーは自由の身になったのですが、ユリアと共に生きることを選びました。
こうしてユリアとボーの冒険は終わったのでした。

おしまい

UP:2020/09/07

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