【Vol.16:ユリアとボーと魔法の力】

ユリアはベッドの上で考えていました。
このままではラーシュの手によってクルトが殺されてしまうかもしれません。
「どうしよう、ボー。クルトが危ないよ」
ユリアは自分の声が震えているのを感じました。
ボーはユリアの周りを飛び回り、そして声を上げました。
「ここから何とかして出よう! クルトを助けに行こう!」

ボーはユリアの右手に繋がれていた鎖を思いっ切り噛みました。
でも、鎖はビクともしません。
「そうだ、ユリア! 君も魔力があるから魔法が使えるはずだよ! 鎖が壊れますようにって念じてみて!」
ユリアはボーの言葉に従い、ボーの力で鎖が壊れますように、と強く念じました。
するとボーのくちばしはキラキラと輝いて、鎖を粉々に砕きました。
「やったね、ユリア! この調子であの扉も開けよう!」
ユリアとボーは固く閉ざされた扉の前に立ちました。
ユリアは扉に手を当てて、「開け」と強く念じました。
すると、鍵からガシャッと音がして、扉が開きました。

「よし、出られた! 急いでラーシュを探さないと!」
ボーは暗い廊下の左右を見渡しながら言いました。
ユリアは階段の見える右の方へ向かって歩き始めました。
どうやらここは地下の廊下のようでした。
明かりの差す上の階へ進んでいくと、いくつかの扉が見えました。
一つ一つの部屋をのぞきながら、ラーシュを探しました。
三階程上に上がると、ひときわ大きな扉が奥の方に見えました。
すると大きな扉の方からドンッという大きな音が聞こえてきました。
ユリアとボーは走って扉の前へ行き、勢いよく扉を開けました。

UP:2020/09/05

前ページ   目次へ   Vol.17:ユリアとボー、泣く

inserted by FC2 system