【Vol.4:ユリアとボーと森の動物達】

ユリアとボーは影の魔物から逃げて疲れ果てていました。
泉のほとりで二人は寄り添って眠ってしまいました。

おしゃべりな鳥たちが鳴き、朝の日が差し込んでボーは目を覚ましました。
「ユリア! 起きて! 朝だよ!」
ユリアはむくりと起きました。何だか具合が悪そうです。

「ボー。寒いの。頭が痛いの。のどが痛いの」
ユリアは苦しそうに言いました。
「大変だ! 大変だ! ユリアが病気になっちゃった! 誰か、どうしたらいいか教えてよ!」
ボーは一生懸命、森の動物たちに呼びかけました。

「君はいばりんぼう。不思議な力で皆を困らせていたことを知っているよ」
「それで神様から怒られて真っ黒な影の魔物になったんだ」
「影の魔物になっても反省しないから、賢者に封印されたんだ」
「その女の子が封印を解いたんだ。その女の子も悪い子だ!」
「君もその女の子も悪い子だ! だから助けてあげないよ」
おしゃべりな鳥たちがボーを責めました。

「待ってよ! 待ってよ! ユリアの大切な心を壊したこと、反省しているんだ!  皆にもイタズラしないよ! だからユリアを助けてよ!」
ボーは必死でお願いしましたが、鳥たちは飛んでいってしまいました。

「誰かユリアを助けてよ……」
ボーは大きな目からポロポロと涙をこぼしました。
すると、木の陰から様子をうかがっていたウサギとリスがユリアとボーの側に寄ってきました。

「賢者に会いに行ったらどうかな?」
「優しい賢者だから、きっと君たちを助けてくれるよ」
ウサギとリスがボーに優しく話しかけました。
「ありがとう! でもどうやってユリアを連れていけばいいかな? ユリア、歩けないよ。 それに、空を飛ぶのは怖いみたい……。困ったな。困ったな」

ボーとウサギとリスが考えていると鹿がそっとやって来ました。
「私が連れていってあげる。さあ、私の背に乗せるよ」
そう言うと、鹿がかがんでユリアをその背に乗せました。
「ありがとう! ありがとう!」
ボーは皆にお礼を言いました。
ウサギとリスと別れて、ユリアとボーと鹿で賢者の元へと向かいました。

UP:2016/11/19

前ページ   目次へ   Vol.5:ユリアとボーと賢者

inserted by FC2 system