【Vol.5:ユリアとボーと賢者】

ユリアとボーと鹿は森の中にある小さな山小屋に着きました。
「こんにちは! 賢者さん!」
ボーは扉の前で声をあげました。
すると中から、ローブをまとい、杖をついた若い男が現れました。

「こんにちは。皆さん。僕に何のご用かな?」
ボーはユリアが病気であることを説明しました。
「それは大変だ。まずはベッドに寝かせてあげよう」
賢者は鹿の背からユリアを降ろしてベッドに寝かせてあげました。

「賢者に会えたから、もう大丈夫だね」
鹿はボーの「ありがとう!」の言葉に微笑んで、賢者の家を去りました。
「ユリア、大丈夫かな? 大丈夫かな?」
「お薬を飲ませてあげたから大丈夫。あとはしっかり眠れば平気だよ」
賢者はボーに言いました。

「ボー。ユリアを助けて、偉かったね」
賢者は優しくボーの頭を撫でました。
ボーは嬉しくなって羽をばたつかせましたが、すぐに止めました。
「嬉しいな! でもユリアが起きちゃうから静かにするね」
ボーはベッドの縁(ふち)に移動して、賢者を見ました。
賢者は柔らかな微笑みを返してくれました。

「さあ、ボー。君もゆっくり眠るといい」
「ありがとう、賢者さん」
ボーはようやく目をつむって、ぐっすりと眠りにつきました。

UP:2018/04/16

前ページ   目次へ   Vol.6:ユリアとボーと花

inserted by FC2 system