【Vol.7:ユリアとボーと賢者の罪】

「ユリア、ボー。僕も旅の仲間に入れてくれないかな?」
クルトが言いました。
「勿論いいよ! クルトは良い奴だもの! ユリアもそう思うでしょ?」
ボーの言葉にユリアもうなづいて「いいよ」と答えました。
「ありがとう、二人共」
クルトは二人に微笑みかけました。

「実は僕もユリアと同じく、影の魔物と契約した者なんだ」
クルトの発言にユリアとボーが顔を見合わせました。
「紹介するね、ケルベロスのエット、トゥーボ、トリアです」
クルトの影から三匹の犬らしきシルエットが伸びて、クルトの背後に集まりました。
これにはユリアとボーが驚いて、「わぁ!」と大きな声を出しました。

「エットです。よろしくユリア、ボー」
「トゥーボだ! よろしくな!」
「トリアだよ。よろしくね」
ケルベロスがそれぞれユリアとボーに挨拶しました。

「僕は大切な人の悪行を止めるためにケルベロスと契約して視力を失ったんだ。
ユリアの村を襲ったのは恐らく僕の弟、ラーシュだ。
弟はヒュドラという九つの頭を持つ蛇の影の魔物と契約したんだ」
クルトは悲しげにユリアとボーを見つめて言いました。

「ユリアの心とボーの子供化を治すのと、村の人達を取り戻すお手伝いをさせてほしい。
そして……なんとしても弟の暴走を止めたいんだ」
クルトの言葉にユリアとボーはうなづきました。
「クルトは俺達を助けてくれた! だから俺も手伝うぞ!」
「私も手伝う」
「ありがとう、ボー。ユリア」
クルトは悲しげな優しい顔で微笑みました。

こうしてユリアとボーは賢者クルトとケルベロスという心強い旅の仲間を得ました。
クルトの弟ラーシュを探し、失ったものを取り戻す旅が始まったのです。

UP:2020/08/31

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