【Vol.8:ユリアとボーと旅の仲間】

ユリアの病気が治り、ユリアとボーとクルト、そしてケルベロスは山小屋を出て町を目指すことにしました。
「次の町に行くには二日かかるんだ」
クルトはユリアとボーに言いました。

「今日はここで休もう」
クルトの提案で旅の仲間達は泉の近くで野宿することにしました。
クルトがテントを張っている間に、ユリアとボーは焚き木を集めました。
ユリアは食べられる山菜をいくつか知っていたのでそれも摘み取りました。
焚き木で火を起こして、皆でご飯を食べました。

「町に着いたら、ユリアの光を隠すローブを買おう」
「クルト! ローブって何だ?」
ボーがクルトに尋ねました。
「ユリアや僕みたいに魔力を持つ人は体が光るんだ。
影の魔物から身を隠すには光を隠すローブが必要なんだ。
このテントも光を隠せるものだから安心して眠れるよ」
クルトは焚き木の火を消してランプの明かりを灯しながら答えました。

「そうかぁ! だからこの前、魔物がユリアを食べようとしたんだな!」
ボーが羽をばたつかせながら言いました。
「クルト、いろいろなことを知ってる」
ユリアが胸に手を当てながら言いました。
「さすが賢者だな! クルトはすごいや!」
ユリアとボーはクルトをたくさん褒めました。

「ありがとう、二人共。
たくさん勉強して、いろいろなことを経験すればユリアとボーも新しい世界を知ることが出来るよ」
クルトが微笑みながらユリアとボーの頭を撫でました。

「さぁ、二人共。もう眠ろう。明日もたくさん歩くよ。今夜の見張りはケルベロスがしてくれる」
「それなら安心だね! お休み、皆!」
「おやすみなさい」
「お休みなさい」
クルトがランプの灯を息で吹き消して、辺りは暗闇に包まれました。
でも、ユリアとボーは怖くありませんでした。
旅の仲間がとても心強いからです。
二人は安心して眠りにつきました。

UP:2020/08/31

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